皆さん自宅や勤め先に神棚はありますか?
最近の新しい家では設置していないところもあるかもしれません。本当に神棚は必要なのか、と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
神棚は何のためにあるのか、家や会社に設置をする必要があるのかなど、神棚について詳しく解説いたします。
1,そもそも神棚とは?
神棚とは、神道の神様を自宅に祀るための棚のことを言います。
現代では、普段の生活で神道を意識することは、あまりありません。
わたしたち日本人は、お正月には神社に初詣、お彼岸やお盆にはお寺にお墓参りに出かけ、クリスマスなどキリスト教の行事も生活に自然に取り入れています。
このように、日本人の宗教観はかなり大らかで、海外の人からは不思議に思われることも多いようです。
この宗教観のベースにあるとされるのが「自然のものすべてには神が宿る」とする「八百万の神(やおよろずのかみ)」という神道の考え方です。
「日本人は無宗教」と言われることも多いのですが、神道の考え方が根付いているがゆえに、さまざまな「神様」を大切にできるのだと考えられています。
2,神棚・神具の歴史
神棚の起源は『古事記』に記されています。伊勢神宮は日本人の大御祖神、総氏神として古くから日本中の信仰を集めていました。
「御祓大麻」「大神宮様」と呼ばれた伊勢神宮のお神札が全国に頒布され、江戸時代の中頃には、ほとんどの家庭でお祀りされていたようです。
当時の家庭では、お神札をお祀りするために大神宮棚という棚を設けていました。
この大神宮棚が今日の神棚の原形といわれています。
3,神道の神棚と仏教の仏壇 何が違うの?
「神様仏様」という言葉があります。
目に見えない存在を畏怖し敬うことを「宗教」と呼びますが、日本の宗教と言えば、この神様と仏様を置いて他にはないでしょう。
神様は神社で祀られて、仏様はお寺に祀られています。
こうした、神社やお寺を自宅に持ち込んだのが、神棚や仏壇といえるでしょう。
神棚には、神社に祀られるさまざまな神様を祀り、仏壇には家の宗派の本尊(釈迦如来や阿弥陀如来などの仏様)やご先祖様を祀ります。
神様の宗教である神道は日本古来の宗教です。
日本人は森羅万象さまざまなものに神様が宿ると考え、これが体系化されたのが現在の神道です。
一方、仏教はインド発祥の宗教です。チベットから中国、朝鮮を経て、6世紀半ばに日本にやってきます。
明治時代になって「神仏分離令」が出されるまで、日本人は、日本古来の神道と、外からやってきた仏教を上手く融合させて社会を築いてきました。
「神仏習合」という言葉は、まさにそれを物語っています。
4,神棚の種類
神棚の形も様々で、デザインを重視した住宅の普及に伴い、デザインを優先したモダンなものや、コンパクトなものもあります。
もちろん祀る気持ちが一番大切ですが、できれば神札を大切に思う気持ちを作るためにも、「お社」にしてお参りするのをおすすめします。
なにより形から入ることで祀る大切さが増すものです。
5,神棚があるメリット
神棚を置く理由としては、
- 神社で頂くお札を飾るために
- 事務所の体裁を整えるために
- 家族や知人からのススメを受けて
- 運が良くなりそうだから
- きちんと神様に向き合いたくて
などなど、様々なものがありますね。
神棚を祀ることは自宅や会社内に小さな神社の支店ができるようなものです。
ですから、神社に出向いてお参りするのと同じ意味を持つのです。
きっとあなただけのパワースポットになることでしょう。
6,神棚との向き合い方
『神は人の敬によりて威を増し、人は神の徳によりて運を添ふ』という言葉があります。
人が真心こめて米、塩、水などのお供え物を捧げたり、きれいに神棚をお掃除して心を込めて敬えば、ご神威(神の威力)が増し、人はそのご神徳によって幸福や幸運を添えて頂けるのです。
人間が神を敬う心に比例した分しか、ご神徳である神の恵みや神の力は出てこない、神様はそのパワーを発揮できないのです。
信仰の基本が
- 継続的
- 日常的
- 分相応
であることを前提に考えると、管理者にとって最も守りやすい場所に、正しい向きで設置できたら最良です。
その際、お勧めする社の向きは、『太陽が昇る方』であり、
- 東向き
- 南東向き
- 南向き
というのが良いです。
すでにご自宅もしくは職場に神棚があるという方。大切に守ることさえできたら、とても幸運なことです。
そして、それは決して難しいことではありません。
継続的であることが最優先事項です。
たまにどかんと豪華なお供え物をして、あとはほったらかしは良くありませんね。
- 毎日、お灯明を灯す
- 毎日、きれいなお水をお供えする
- 1日と15日に榊を取り替える
などで十分です。
それが難しいならば、1日に1度、『二拝二拍手一拝』をするだけでも良いと思います。
信仰する宗教の教義や、先代からの仕来り等があるならばそれも大切なルールだとは思います。
けれど、そのことで祭祀が困難になり、継続性が途絶えてしまうならば自分なりの見直しも必要です。
7,神棚は必要か
神棚を作るという事は、設置したその瞬間から継続的な管理が必要になるということです。
設置することが良いではなく、そこから丁寧に信仰することが大事です。
維持管理に自信が持てない場合は、無理に神棚を作らない方が無難だと思います。
神棚を作らずとも信仰は十分可能です。
そして、中途半端な神の仮宿を自宅や会社に設けようとするよりは、最寄りの神社に定期的に参拝した方が、現実的にも信仰的にも縁起は良いです。
守れない神棚なら、ない方が良いです。
けれどそれは『神棚なんて作っちゃダメ!』と言いたいわけではなくて、神仏を日々継続的に守れるならば神棚は設置した方が良いです。
その恩恵は計り知れません。
設置したからには、それ以降、お金も時間も労力も継続的にかかり、維持して行くのは大変かもしれません。
ですがその分、ここぞという時に、とても大きな幸運が得られると考えられます。
『変えるべき運命を変えてくれる』ということです。
まとめ
神棚を祀る理由には何があるのでしょう。
家庭では家内安全、身体健康、夫婦円満、学力向上など、家族のために祈れます。
会社では社運隆盛、事業成功、売上向上、商売繁盛、従業員安泰など、会社のため、従業員のために祈ることができます。
でも、最も重要なのは神様に向かい合えることです。
これは神様がその場にいないと、向かい合うことすらできません。
神棚がある事は、向かい合えるチャンスに恵まれます。
そして、神様と面と向かい合えたなら、一番大切にしてほしいのは感謝することです。
人間同士の関係においても、いきなりお願い事や頼み事をするのはマナー違反ですよね。やはり常日頃、感謝している関係であれば、お願い事や頼み事も引き受けたいと思うのではないでしょうか。
そして、感謝とは「ありがとうございます」と伝えることです。
それはただ「ありがたい」と感謝できる真心を、言葉で表すのが「ありがとう」なのです。
まずはありがたい気持ちの「ありがとう」をしましょう。
もしお願いをするなら、感謝した後に伝えると良いですね。
その通りであると、私は思います。ありがとうございます。