投稿者 kamidana-kyoukasho投稿日: カテゴリー 神棚
朝日新聞社の週刊誌AERA18年１月15日号、週刊現代の14年４月11日号で、大手企業はなぜ、社内に神社を設け、事務所に神棚を祀るのか特集しています。少し古い話で恐縮ですが、企業が社内神社や社内神棚を祀る理由などが上手にまとめられています。特にAERAの特集では、國學院大學の石井研士教授の調査をもとに、全国の主な企業内神社が一覧になっており、大変参考になります。
以前、「見えない力を味方につける ㊤、㊦」でも神棚を祀る企業様を紹介しましたが、第三弾として、一連の週刊誌特集をお手伝いした神棚マイスターの窪寺伸浩氏（クボデラ株式会社 代表取締役）の案内で、社内神社や社内神棚を祀る大手企業群のご紹介をしていただきます。
クボデラ㈱にも社内に神棚を祀りたいとのお問い合わせは多く寄せられています。コロナ禍というかつてない不透明な時代に直面し、神社や神棚を通して経営者が会社と事業の発展、社員の健康と安全を祈念する意識が高まっているのかもしれません。
羽田クロノゲートに18台の神棚を設置
ヤマト運輸様（東京都中央区、栗栖利蔵代表取締役社長）は、羽田クロノゲートにクボデラ株式会社の神棚「正統本格セット」を採用し、18台を取り付けていただきました。
同ゲートは、「羽田」という立地を活かした陸・海・空のスピード輸送ネットワークと高度な付加価値機能を一体化した日本最大級の物流ターミナルです。24時間稼働、陸海空マルチ輸送、発着同時スピード仕分けします。
また、同ゲートは、自然採光・自然換気、太陽や風、雨など自然の力を使った様々な環境配慮、BEMS（ビルディングエネルギーマネージメントシステム）によるエネルギー管理により、同社の従来型ターミナル比でCO2排出量1万4,000トン（約46％）の削減を見込んでいるそうです。
物流・運輸系の企業では以前から、社内や事業所などに神棚を祀ることが一般的です。業務の安全を最優先する職種として、真剣に安全を祈願しています。前にご紹介した㈱物流サービス様（群馬県前橋市）でも、神棚を祀り、礼拝を続けていくうちに事故件数が目に見えて減少していったそうです。
同社の大谷内光男代表取締役は、「会社全体の交通安全に対する意識が高まり、皆がドライバーの安全運転を祈っているということが、守られているという安心感につながってきたのではないでしょうか」と語ります。
安全を最優先する物流・運輸大手に多いです
週刊現代の神棚特集では、物流・運輸関係企業として、日本航空㈱（東京都品川区）、日本郵船㈱（東京都千代田区）、日本交通㈱（東京都千代田区）などの社内神社、社内神棚が紹介されています。
日本航空㈱様は、羽田空港滑走路脇にある、JALインフォメーションセンターに赤い鳥居を構えた祠があり、稲荷神の使いとされる狐が飾られています。同社によると、「2002年10月に合併した日本エアシステムが風浪被害から羽田を守るために分祀したものだと言われ、月２回、榊を替え、安全第一を祈願しています」とのことです。
日本郵船㈱様は社内に祀る神棚に、海上交通安全の守り神である金毘羅宮（香川県）のお札を納めています。年初に、海務担当役員が金毘羅宮を訪れ、お札をいただき、奉納しています。神棚は、社内の神棚番が毎日清めているそうです。
日本交通㈱様は、赤羽営業所の神棚が紹介されています。氏神である諏訪神社を祀り、運行管理者が毎朝、事故ゼロを祈願しているそうです。タクシー、ハイヤー大手で、関連会社を含めタクシーなどの車両数千台を有する同社にとって、交通安全は何よりも重要な課題です。同社では毎年１月４日を「安全の日」と定め、職員全員で神棚に手を合わせているそうです。
成功企業が祀る神さま
週刊現代の特集では、サントリーホールディングス㈱、㈱IHI、劇団四季を運営する四季㈱、㈱資生堂、求心製薬㈱、パナソニック㈱、㈱毎日新聞社、㈱ワコールホールディングスなどの社内神社や神棚も紹介されています。
AERAでは、「大特集 成功企業が祀る神さま」と題し、パナソニック㈱をはじめ、㈱金剛組、法輪寺の電電宮、以前、このコラムでもご紹介した㈱ミスターフュージョンが紹介されています。
サントリーHD様は商売繁盛の赤坂豊川稲荷、氏神となる大國魂神社、酒造りの神様を祀る大神神社の三柱を神棚に祀っています。同社の武蔵野ビール工場では、製造の安全・安心・美味を祈願し、米ではなく、ビールの原料である麦芽をお供えするそうです。同社のビール製品各種もお供えされています。
IHI様（旧石川島播磨重工業）では、安全はすべてに優先するなどの安全五原則を業務の基本に据え、社内に１０カ所の神棚が祀られているそうです。神社は成田山新勝寺。従業員の家内安全を祈願しています。
劇団四季様の［秋］劇場の楽屋口に神棚が祀られており、キャストが公演の無事と安全を祈願します。神棚の隣には、浅利慶太氏のメッセージ、「必死に訓練しろ！！」との檄も掲示されています。お祀りする神社は芝大神宮です。
AERAで紹介されている金剛組様（大阪市）は、飛鳥時代に聖徳太子の命を受け、３人の工匠が朝鮮半島の百済から日本に招かれ、日本最初の官寺である四天王寺（大阪市）の建立をした時代に遡り、世界最古の建設会社としても知られています。本社、東京本店、４事業所に聖徳太子像が祀られた御厨子を設置し、毎月１日、１５日の朝礼で拝礼を行っています。
同社は社寺建築の第一人者として知られ、同誌にも「私たちは、誰もが思わず手を合わせたくなるような社寺をつくらないといけない。そういう人が増えれば、世の中もっと平和になると思います」（刀根社長）と述べています。
両誌に紹介されたパナソニック㈱様は、本社の一角に鳥居と祠を持つ白龍大明神が祀られ、全国の事業所にも多くの社が祀られています。歴代、祭祀担当社員を置き、社業の発展、社員の健康、販売店や代理店との共存共栄を祈願しています。
神棚マイスターの窪寺伸浩氏は、「長い景気低迷期を乗り越えてきた経営者が多いためか、神棚に対する真剣度は増しているように思います。ITやベンチャー系の若手経営者も神棚への関心は高いです」と指摘しています。ミスターフュージョン様の石嶋洋平社長は、「IT企業の神棚があると、来客される方は一様に驚かれるんですが、そのギャップ、格好よくないですか？でも、根底でつながっていて、大事なのは時代や業種を超えた普遍的な価値。それはやっぱり、感謝の気持ちでしょう」と語っています。
人類にとって未経験ともいえる今回の新型コロナ感染症は、現在も世界中で猛威を振るい、各地に痛ましい被害をもたらしています。コロナ禍で、なかなか神社へお参りに行けないといった声も聞かれます。一日も早く感染が収束し、病気からの回復を祈念するばかりです。