【木でつくられた神棚】本物の木をつかうことが大切です

投稿日: カテゴリー 神棚


 

神棚は私たちが日常的に祈りを捧げる対象です。

大切なことはきちんと祀るという心、感謝の気持ちを持つことです。ですから形式にそれほどこだわる必要はないと考えますが、一つだけ。

お祀りする神棚は木でつくられたもの、それも高樹齢の本物の木が使われた神棚であることです。社寺建築等に造詣の深い木材業界の長老は、「木の価値は樹齢にある」と教えてくれました。

ここではなぜ、神棚に木が用いられるのかを考えながら、21世紀に入り、木材が極めて重要な物資として評価され、森林が将来性に満ちた資源であることなども明らかにしていきます。

ナノファイバーに代表される21世紀の技術革新の多くは森林や木材を由来としたものになり、人類の持続可能な発展の鍵を握るのも森林や木材となるでしょう。

1.なぜ、神棚は木なのでしょうか

なぜ、神棚は木なのか、木ほど神様からの恵みにふさわしいものはありません。

木はそれ自体が神なのです。神社の境内に、注連縄で巻かれた大木を見かけます。御神木と呼ばれるもので、神になった木という意味です。社の周りは鎮守の森と呼ばれるうっそうとした森林に覆われています。

家の柱は木からつくられます。神様のことを一柱、二柱と、あたかも木を数えるように数えてきた古代の日本人にとって、森林や木は、この世に現れた神のような存在と認識されたのでしょう。

神棚は神様がお住まいになるところです。神棚が木でつくられてきたのも当然でしょう。

日本書紀には、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が八岐大蛇(やまたのおろち)を退治したあと、顔の髭をまくと杉、胸毛をまくと桧、尻の毛は槙(まき)、眉毛は樟(くす)となったことが記されています。

そして、「杉と樟、この二つの木は浮宝(うきだから)とせよ。桧は瑞宮(みずのみや)をつくる材料とせよ。槙は青木茸の奥津棄戸(おくつきすたえ)の棺をつくる材料とせよ」などと言っています。

浮宝とは船、瑞宮は立派な建物、青木茸は人、奥津棄戸は墓所のことです。木が神様の体の一部であること、そして木の特徴を踏まえて、その使い方まで解いています。

2.神棚の材料は桧が最適です

神社の材料は神代から桧が最適とされています。桧は油分を多く含み腐りにくく、虫に強く、耐久性があります。また、加工しやすく、油分が多いため色艶がよく、独特の良い香りがします。

神棚には白木がよいとされています。これは白い木を指すのではなく、「素木」、つまり純粋な木、木そのものという意味です。国産材であるか外材であるかは関係ありませんが、樹齢を重ねた本物の桧が最適です。

法隆寺改修、薬師寺西塔再建などを手掛けた宮大工の西岡常一棟梁は生前、桧の良いところは、第一に耐久性が長いことだと語り、法隆寺の伽藍に使われた桧は伐採されて1000~1200年、薬師寺の東塔は1300年、これほど長い耐用年数のものは桧以外にないと指摘しています。

3.木は人を快適にする力があります

うっそうとした森におおわれた神社や、雑木林の森林に分け入ると、とても清々しく感じます。なぜ、そのように感じるのか、森林浴の効能が科学的に分析されるようになってきました。

森の立木から発散されるフィトンチッドがリラックス効果をもたらすこと、さらにガン細胞を抑制するNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化するといった効果が科学的に実証されています。

また、ストレスホルモンであるコルチゾール濃度の低下も確認されています。

東京大学大学院農学生命科学研究科の恒次祐子准教授は、木材の香りと免疫機能の関連についても実験を行いました。
桧油の香りをアロマ加湿器で発生させ、被験者が睡眠中に香りを嗅ぐと免疫力はどう変化するか3日間にわたり測定したもので、測定の結果、NK活性(免疫細胞の活性)が明らかに上昇し、ストレスの指標である尿中ノルアドレナリンが有意に減少したそうです。

海外の実験では、木材の中心的な臭い成分であるαピネンを含んだ環境下で、マウスに移植したがん細胞の増殖が40%抑制されたとの報告もあります。

また、別の科学者の研究では、木造校舎はRC造校舎に比べ、生徒がインフルエンザに罹りにくく、RC造でも内装を木質化した教室であれば木造校舎と同様の結果が出ました。

授業中の生徒の「注意集中の困難」、「眠気とだるさ」も測定したところ、木造はRC造に比べ好結果となっており、高学年ほどそうした傾向が顕著でした。先生の疲労感測定でも明らかに木造が良い結果を出しています。

また、学校での杉の机の免疫性を研究した科学者からは、金属製の机に比べ免疫力が向上したとの報告があがっています。

1987年当時、静岡大学農学部助教授であった有馬孝禮氏(東京大学名誉教授)は、木、コンクリート、鉄の箱でマウスを飼育し、子供を産ませ、その成長や行動を見る実験を行いました。
その結果、マウスの生存率は木の箱が85%だったのに対し、鉄で41%、コンクリートでは7%と大きな差が出ました。体重増加、内臓発達など、成長についても木の箱が明らかに高く、特に低温時での差異が顕著でした。

こうした知見は、生き物の快適性と木が密接に関係していることを証明しています。

木でできた神棚は、コンクリートや鉄でつくられている住宅やオフィス、工場のどこに置いても違和感があります。

そこに意味があるのだと思います。

神棚のある空間は異風景を生み出します。そして、神棚を前にして、社員の心の中に揺らぎを生み出します。この揺らぎこそ、日常とは違う空間、神様の存在を感じさせるのです。

いかがでしたか。

なぜ、神棚は木で設えるのか、神様と木の関係を中心ご説明しました。木は神様からの最高の賜り物です。だからこそ、私たちの快適性を司る遺伝子にも、木の良さを訴えかけてくるのかもしれません。


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